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「ポーラ美術館コレクション展」横浜美術館 レビュー ―前友洋(アンファンゲン代表)
このレビューは記者発表ならびに内覧会を元に書いています。
あくまでも筆者の見解であり、鑑賞の仕方、美術館や展覧会、作品の評価を読者の皆さんに強要するものではありません。

※ 掲載されている画像はクリックすると拡大します。
※ 掲載している画像全ては主催者の許可を得て撮影をしたものです。無断転載はご遠慮ください。
         
「夏休み、子供と一緒に横浜美術館へ行こう! 近代フランス絵画の入門編」

横浜美術館自体はけして狭い美術館ではないのですが、本展はこじんまりとしています。
鑑賞後「あれ、もう終わり?」と感じるかもしれません。
いったい目玉はナンだったのか?ボリューム少なくない?とも感じるかもしれません。
ポーラ美術館の膨大なコレクションのほんの一部しか展示されていないので、そう感じるのは仕方のないことだと思います。
しかし、逆に私はそれが良かったと思います。
それは本展がただ有名な作家の有名な作品をみせるための展覧会では無いからです。

そして、本展は「横浜美術館コレクション展2010 第二期」も併設されています。横浜美術館にもとても素晴らしいコレクションがあります(ページ下部に画像を掲載しています)。前半を「ポーラ美術館」後半を「横浜美術館」と美術館全体が二つに分かれています。


Ⅰ「近代フランス絵画の入門編」
この展覧会ははポーラ美術館のコレクションを使ってフランス近代絵画へ観る人たちを誘うことが目的です。沢山の作品と、有名な一枚を詰め込む展示ではありません。「印象派」から「エコールド・パリ」「ピカソ」までのフランス近代絵画を知るための玄関です。

第一章はモネ作「ジヴェルニーの積みわら」から始まる作品達で印象派の革新からポスト印象派までの様式の一連の展開の流れが紹介されています。何故印象派と呼ばれるようになったのかなど解説も詳しく書いてあり、作品の展示の順番を含め分かりやすくなっています。
第二章は展示室を画家が集まる集合アトリエに見立て、画家ごとに展示室を分け画家の個性と個を見せる展示になっています。画家ごとに分ける事により初めてこの章の作家の作品を観る方や子供は混乱することなく鑑賞できます。この作家の個性はこうです!と示してくれています。4点のみの展示ですがピカソの作品もキュビズム時代に偏るのではなく、青の時代から展示されいます。

様式の変化から個と個性の時代へと移り変わる第一章と第二章で展示室の色を変え、場面転換を図るという試みもあり、これは意識付けとしては面白いと思いました。
       
Ⅱ「会話しながら楽しんでほしい」
本展では作品やその流れ、作家のことを一緒に訪れた人と会話しながら楽しんで欲しいとの狙いもあります。もちろん他の方の迷惑になり様な大きな声では勿論ダメですが。
「会話を楽しむ」のもこれぐらいの展示ボリュームだと丁度よいと思います。ボリュームが多すぎると、会話していたら幾ら時間があっても足りませんし、最後の方は疲れてしまいます。「会話を楽しむ」と言うのは、鑑賞中だけではなく、鑑賞後も展示作品についてお話して、と言う意図があると思います。ボリュームが多いと印象に残りにくくなります。
また、一通り観てから話をして、話した内容を元にもう一度鑑賞するのにも丁度良いと言えます。


Ⅲ「子供と一緒に」
夏休みの子供達に是非来館して欲しい企画、とは主催者の言葉です。
展示する高さも子供の見やすい高さにするかどうかも検討されたぐらいです(今回は通常の高さで展示されています)。
子供も一緒に観るには、やはりこの展示ボリュームが丁度いいと思います。
これ以上多いと子供は飽きてしまうでしょう。
関連企画として「子どもクルーズ」、公式ホームページにはキッズコーナーがあるように、子供の集客を狙っています。
       
Ⅳ「国内美術館の所蔵作品」
2010年はフランス近代美術の企画展が多く開催されています。
ほとんどが、海外から有名な作品を招き、それを目玉として紹介をしているものが多い中、本展は日本の美術館におけるコレクションの重要性を示そうとしています。
美術館は本来美術作品などを収集し、それらを研究、保存、展示して、アートに関する文化、教育を普及させるための期間で「収集・コレクション」はとても重要なのです。
国立新美術館は収集はせず、展覧会のみ行う箱として存在しています。実は美術館本来の姿ではないのです。私のイメージは、大きなギャラリー、展示室です。
確かに大きな(海外から目玉作品を呼ぶ)企画と立地から沢山のお客さんが訪れ、横浜美術館よりも来館数は多いでしょう。
しかし、たとえばオルセー美術館に所蔵されているから良い作品なのでしょうか?
本展には「オルセー美術館展2010」で来日している作品と同じモチーフで描かれている作品があります。それらと比べてみてもポーラ美術館のコレクション作品は見劣りすることは一切ありません。むしろ本展の方が落ち着いて作品を鑑賞できます。

 
Ⅴ「総評」
本展は「フランス近代絵画の流れを、ポーラ美術美術館のコレクション作品で知り、子供や同伴者とそれらのことで会話を楽しむ。そして、横浜美術館のコレクションも合わせて日本の美術館のコレクションの素晴らしいさと重要性知る」展覧会です。
展覧会の派手さでは「オルセー美術館展2010」に勝てるはずもありませんが、展覧会としてきちんと成立しているのはこの展覧会「ポーラ美術館コレクション展」だと私は思います。分かりやすい解説と展示室の場面転換、そして丁度いいボリューム。主催者の意図が伝わってきます。
「フランス近代美術」の入門編としてだけではなく「美術館に鑑賞に行く」入門編としても、とても良い展覧会だといえます。

この展覧会を観覧した人が横浜美術館経由「箱根・ポーラ美術館行き」もしくは「近くの美術館行き」になればいいな、と私は思います。そして、各地域の美術館が少しでも盛り上がってくれればとも思うのです。
       
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横浜美術館コレクション展2010 第二期 展示風景
       

      

       

       
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